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【ビルメンの選任について】引き受けるメリットとデメリットを現役ビルメンが解説!

【ビルメンの選任について】引き受けるメリットとデメリットを現役ビルメンが解説!
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こんにちは、ビルメンのイサカです。

あなたは、ビルメンの選任について悩んでいませんか?
ビルメンが働くビルの中の一部には、「選任者」と呼ばれる人が存在しています。
電験、ビル管などの資格を活かして選任された人たちは一体どのような仕事をしているのでしょうか?
また、選任されることにメリットやデメリットはあるのでしょうか?
この記事では「ビルメンの選任」について分かりやすく解説して、これからビルメンとして活動していくに当たって、選任に興味がある人に参考となるような記事です。
ぜひ最後まで読んでビルメン業界の選任について学んでいってください!

01.ビルメン選任とは?

まず初めにビルメンの「選任」とは具体的に何をする人なのかを簡単に紹介していきます。
ビルメンが働くビルにはオフィスビルや商業施設、ホテルなどのたくさんの種類があり、その建物の中に入っている設備も様々ですよね。
そして、その建物や設備等は適正に管理がされないと、安全上問題が発生したり、衛生的に問題が起こったりする可能性があります。
そこで、国家資格を持った人を「選任」して責任者のような立場にして置いておくのです。

選任された人はそのビルや設備に対して法的な責任を負い、ビル及び設備等が安全かつ衛生的に運用されるように努めなければなりません。

もっと具体的に言うと、

  • 官公署(役所など)とやり取りして書類を提出する
  • ビルオーナーやテナントに掛け合い、必要な説明や指示を出す
  • 現場の設備員を指揮して問題なく運用できるように指導する

などの事を責任持って、やっていかなればいけません。

また、ビルメンが選任されることにより、一般的には「選任手当」などが出るようになり給料がアップすることが期待できます。
「給料が上がるのならみんななりたがるのでは?」と思うかもしれませんが、選任されるには条件があり、誰でもなれるわけではありません。
例えばビルメンの選任と言えば代表的なのは、「ビル管の選任」ですが、こちらは「建築物環境衛生管理技術者」という国家資格を取得している人じゃないと選任することができないのです。
電験三種の選任やボイラー技士の選任などもありますが、基本的には国家資格を持った人じゃないとできません。
資格を持った人の中から会社が誰に任せるか選んで「選任を引き受けてくれないか?」と打診して、了承したら決定という流れになることが多いと思います。(選任をやってみたい人がいれば自薦の場合もアリ)

02.実際のビルメン現場で特に求められている資格はどれ?

ここではビルメンの資格ごとの選任義務について簡単に見ていきます。
ビルや設備が基準に該当していたら、各国家資格を持った人の中から選任者を出して、役所に届け出ないといけません。
こういった選任者については設備の分かりやすいところに名札などが提示されていることもあるので、現在ビルメンの人は注意深く観察してみるのも良いかもしれませんね。

電験の選任

「事業用電気工作物」を扱う事業者はその規模に応じて電気主任技術者を選任しなければいけません。(一般家庭を除いた高圧で受電する建物等が該当します)
電気主任技術者には、第一種・第二種・第三種の3つの資格があり、ビルメン三種の神器の一つであり、俗に言う電験三種とは第三種電気主任技術者のことを指します。
簡単に言うと、「高圧」を扱う建物では有資格者を選任してきちんと管理していきましょうという制度です。

  • 第一種・・・全ての電気工作物の保安、維持管理ができる
  • 第二種・・・17万ボルト未満の電気工作物が扱える
  • 第三種・・・5万ボルト未満の電気工作物が扱える

このように資格の種類によって選任できる規模が異なっていて、より大きな設備を扱うには上位資格を取得しないといけません。

ビル管の選任

一定規模以上の面積を持つ特定建築物の場合、「建築物環境衛生管理技術者」(通称ビル管)の資格を持った人を選任することが義務付けられています。
特定建築物とは、例えば商業施設やホテル、学校、オフィスビルなどです。
ちなみに選任されたとしても必ずしも常駐する必要はありません。
また、令和4年より兼任条件が緩和されて、これまでに比べて一人のビルメンが複数のビルの選任を兼任しやすくなりました。
保健所を通して自治体(都道府県知事)に届け出ることにより、選任されることができます。(面接や試験などがあるわけではありません)

そして選任された人は具体的に下記のような仕事をしていきます。

  • 管理業務計画の立案
  • 管理業務の指揮監督
  • 建築物環境衛生管理基準に関する測定または検査結果の評価
  • 環境衛生上の維持管理に必要な各種調査の実施

(厚生労働省のサイトより引用:https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/seikatsu-eisei11/index.html

管理業務計画というのは年間を通しての調査・検査スケジュールなどを計画することです。
そしてその計画が円滑に進むように選任者は主体的に動いていきます。
さらに、空気環境測定や水質検査などの結果から判断をして、安全・環境衛生上の維持管理に務める、というような仕事をしていくのです。

冷凍機械責任者の選任

建物に冷凍機がある場合、その冷凍能力に応じて第一種~第三種までの冷凍機械責任者を選任しなければいけません。

  • 第一種・・・1日の冷凍能力が300トン以上
  • 第二種・・・1日の冷凍能力が100トン以上300トン未満
  • 第三種・・・1日の冷凍能力が100トン未満

ただし、最近のビルでは選任不要の設備が増えており、ビル管の選任や電験の選任に比べて、選任される機会は圧倒的に少ないと思います。
なので選任のために資格が必要になることもそれほど無く、ビルメンとして冷凍機械責任者に選任されるのはレアケースと言えそうです。
とは言え、冷凍機械責任者の資格を勉強すると、ビル管理に大切な「冷凍サイクル」の知識が学べるので、資格自体は取っておいた方が良いかと思います。

ボイラーの選任

ビルにボイラーがある場合、その伝熱面積に応じてボイラー技士を選任することが義務付けられています。

  • 特級ボイラー技士
  • 一級ボイラー技士
  • 二級ボイラー技士

などの種類があり、特級ボイラー技士は全ての面積のボイラーを扱えます。
ただし、ボイラーに関しても冷凍機械責任者と同じように資格の要らない設備が増えていて、最近のボイラーでは、ほぼほぼ選任の必要もないことが多いです。
古い病院のボイラーなどでは未だに資格が必要なものが稼働しているケースもありますが、こちらもレアケースと言えるでしょう。

危険物取扱者の選任

ビルで非常用の発電機などを置いている場合、燃料として重油などを使う場合があり、重油は危険物に該当するので、危険物取扱者を選任する必要があります。(規模や設備にもよりますが)

これは、危険物の資格を持っている人の中から6ヶ月以上の実務経験を持つ人を選んで、市区町村に届け出ることで選任が完了します。

選任された場合は危険物の貯蔵や取扱いに置いて、保安監督の責任が発生するので、当然責任は重大です。

これまでの説明で分かるようにビルメン4点セットや三種の神器などビルメンで必要と言われる資格はそのまま選任に繋がる資格なのです。

ビルメン資格を勉強して、設備に関する基本的な知識を学ぶ事はもちろん大事ですが、それと同じくらい選任が任されるようになるというのも大きなメリットと言えますね。

ちなみにビルメンの資格については下記の参考記事からどうぞ!
【ビルメンに必要な資格は?】取得する順番やおすすめの理由を解説!

03.選任になるのはどんな人?

それでは実際にどのような人が現場で選任されるのかを見ていきましょう。
まず初めに選任される可能性が高いのは、やはり所長クラスの人です。
所長クラスになるとたくさんの資格を持っていたり、経験を積んでいたりする可能性が高く、必然的に選任になる確率は高まります。
それに選任者というのは関係各所と折衝しリーダーシップを発揮して、能動的に行動していく仕事ですから、所長が適任という意見もあります。

それでは、所長以外ではどんな人が選任されるのでしょうか?
例えば将来幹部候補などで期待されている若手の抜擢が考えられます。(いわゆる出世コース)
選任というのはやはり得難い経験であり、ビルメンの中でも誰もがやるわけではないので、「将来のためにも経験しておいで」と送りだされる場合もあります。

その他にも、「選任をぜひやってみたい!」というやる気のある人がいれば、その希望通り挑戦させてもらえるような職場も当然あるでしょう。
先ほども書いたようにビルメンの選任経験というのは、実務経験として重宝されるくらい貴重なもので、一度経験しておいたらその後のキャリアにはとても有効です。
なので、資格が取れたらぜひやってみたいという人もいるのです。

しかし反対に絶対に選任はやりたくないというビルメンもいます。
これは後述しますが、理由としては選任の責任が重くてデメリットもあるので割に合わないという考えからだと思います。
それに選任というのはコミュニケーション能力や判断力、リーダーシップなども必要で、適正というものがあるので、誰にでもできるものではありません。
次では向いている人の適正的な特徴を具体的に解説していきます。

選任される人の傾向は?

どんな人が選任される傾向があるのでしょうか?
それは以下の4つの特徴が挙げられます。

  • コミュニケーション能力がある
  • 判断力がある
  • リーダーシップがある
  • 責任感がある

それぞれについて説明していきます。

まず必要なのはやはりコミュニケーション能力。
選任されると官公署やビルオーナー、テナントなど関係各所とやりとりする機会も増えていきます。その時に円滑な意思疎通をして、納得の行く説明が出来る人が望ましいです。
また、判断力やリーダーシップを持つ人も向いています。
ビルには日々色々なトラブルが起こりうる可能性があり、それらの問題に柔軟に対応してみんなを引っ張っていく必要があります。
その過程で求められるのはやはり咄嗟の判断力やリーダーシップと言えるでしょう。
責任者が何も決められずみんなを引っ張ることが出来なかったら、その組織は危ないですよね。
そして最後に必要なのは責任感。
やはり選任者は法的にもビルの安全について責任があります。
役所に届け出て、名前が書かれているのも選任された者です。
その責任の重さを自覚して、日々の業務に励むことが出来る人が向いていると言えるでしょう。
名前だけ書いて後は知らんぷりというようなスタンスだといつか痛い目に遭うかもしれません。

チャンスがあれば積極的に選任になるべき?

ここまでを聞くと、「選任って大変そう・・・」と思うかもしれません。
確かに平ビルメンに比べて大変ですが、反対にメリットだって多いのです!
それに世の中のビルの数だけ、設備の数だけ選任された人がいるのも事実。
大事なことはメリットとデメリットを天秤に掛けて、総合的に判断することだと思います。

よく考えた上で「ぜひやってみたい!」という人もいれば「選任だけは勘弁・・・」という人もいるでしょう。
ぼく個人の意見としては、「若くてかつ将来もビルメンを続けていきたい」のならぜひ一度は選任に挑戦してみるのも良いと思います。
何故ならやっぱり積める経験の量が段違いだからです。
選任の経験があると転職にも確実に有利ですし、ビルのことも選任前よりもよく分かるようになります。
それに若いと周りからのサポートも期待しやすいでしょう。
会社だって初めて選任になった人を放置してそのままというわけでは無いですしね。
(完全放置されるような会社は転職した方が良いです。)
経験が積めて、選任手当で年収も上がり、さらにはその後のキャリアにも好影響を与える。
多くのメリットがあるのですから、せっかくなら挑戦してみるのも良いかと思います。

ただし、前述したように選任には適正があります。
向いてない人がストレス漬けになりながら精神的にきつい思いをして続けるくらいなら、綺麗さっぱり退いて、選任には一切ノータッチでビルメンをやっていくのもアリだと思います。
そうやって細く長くビルメンを続けていく選択肢も、もちろんあるのです。

選任はメリットデメリットそれぞれが大きいですが、ビルメンとしてキャリアアップするチャンスなのは間違いないので、ぜひ一度考えてみてはいかがでしょうか?
最後に簡単にメリットとデメリットをおさらいしておきましょう。

チャンスがあれば積極的に選任になるべき?

<メリット>

  • ビルメンとしてのキャリアアップに繋がり、転職時にも非常に有利になる
  • 選任手当が出て年収アップが期待できる
  • ビルや設備の運営管理の実務が身に付く

 

<デメリット>

  • 自分の名前を届け出るので責任は大きい
  • 責任の大きさに比べて割に合わないという意見もある
  • 適性がないときつい&しんどいく

 

このようにメリットとデメリットがそれぞれあり、僕の周りでも「やってみたい」という人もいれば「絶対やりたくない」という人もいます。
誰にとってもメリットばかりという訳ではないので、じっくりを考えてみることをおすすめします!


05.まとめ

今回はビルメンの選任についてまとめてみました。
何か一つでも参考になれば幸いです。
ビルメンとして長く働いていくのなら、選任の機会はいつかはやってくるでしょう。
その時にどうするのかはあなた次第。
今回紹介した事を思い出して、後悔しないような選択をして欲しいと思います。
それではまた次の記事でお会いしましょう!
ここまで読んで頂きありがとうございました。
ビルメンのイサカがお送りしました。

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Written by書いた人

イサカ

【職歴】小売業界→ビルメン業界(系列系正社員ビルメン→系列系派遣ビルメン)
【取得資格】第二種電気工事士・危険物乙4・ボイラー技士2級・第三種冷凍機械責任者・消防設備士乙4
【一言メッセージ】ビルメンテナンス業界のリアルを伝えます!!
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