【現役消防設備士が教える】命を守る防災の備えー火災編ー

みなさんは命を守る防災について考えたことがありますか?
消防設備を正しく使うことで大きな防災になります。
- 消火栓やスプリンクラーってどうやって使うの?
- 消防設備で気をつけるポイントは?
- 火災報知器ってなんでついてるの?
そう思う方も多いかと思います。
私は消防設備士として15年間会社に勤めています。
日頃、消防点検をしていて多くの方から使い方の相談を受けます。
消防設備は人命や家財を守るために付いています。
各自の防災意識が必要であり、とても重要です。
まずは、火災を起こさないよう出来ることを考えましょう。
今回の記事ではビルメンなど、現場で活躍する方に向けた防災を紹介します。
消防設備の正しい使い方を理解して、建物を守っていただきたいです。
それではいきましょう。
目次
01.防災知識について意識するべきポイント
はじめに、防災について意識すべき大事なことは以下の3点です。
- 火事を起こさないようにする
- 火災が起きても拡大させないようにする
- 定期的に避難訓練を実施する
それぞれみていきましょう。
火事を起こさないようにする
まず第一に、防災で重要なポイントは火事を起こさないことです。
寝タバコや火の消し忘れが原因で火事になることが多いですが、こちらについては個人の意識で対策ができます。
他にも、あまり知られていませんが火災の原因の多くが放火による出火だと言われています。
消防署の訓練に参加すると、放火の事例は必ず話題に上がります。
対策としては、建物の周りに可燃物を置かない、ゴミ箱をキチンと管理する。
これらを意識するだけでも十分、防災の意識が高まります。
火事を起こさないように今日から意識しましょう。
火災が起きても拡大させない
二つ目の大事なポイントは火災を拡大させないことです。
- ボヤが起きたらすぐ消火器で消す
- 消火器の設置場所を考える
- 消火栓を使って火を消す
有事の際の注意点ですが、これらを意識すれば火災が拡大する可能性は下がります。
消火器の使い方や消火栓などの消防設備はすぐに使えるよう訓練をしましょう。
定期的に消防訓練を実施する
法令上、建物の責任者である防火管理者は年二回の消防訓練を実施する義務があります。
消防訓練は消防計画の内容で作成し、消火や避難・通報訓練を行います。
訓練は防災の面で十分効果を発揮します。
ビルメンの方も消防訓練に参加することも多いと思います。
効果的な訓練にするには、建物を点検している消防設備士に立ち会ってもらいましょう。
水の入った消火器で模擬体験ができたり、消火栓やスプリンクラーの説明を聞くことができます。
消火栓のホースを伸ばすと水圧が強い、どこまで水が飛ぶかなど、体験しなければわからなかったことが見つかるでしょう。
しかし、中には自主的に形だけの訓練を実施されることが見受けられます。
せっかく人が集まり、時間を使っているのに意味のない訓練はもったいないので、消防訓練は設備士に立ち会ってもらい、中身の濃い訓練を実施することをおすすめします。
02.消防設備士が考える防災の重要性
防災の重要性について3つのことを紹介します。
- 消防設備士の仕事
- 防災の意義(人の命を守る仕事)
- 消防設備の重要性
それぞれ見ていきましょう。
消防設備士の仕事
消防設備士は、皆さんが安全に避難や消火活動ができるように設備の点検を行います。
建物の所有者や関係者は、建物を安全に使えるよう、維持しなくてはいけないため、年2回の消防設備点検を業者に依頼します。
消防設備士は、消防法17条3の3の法にそって、建物の設備が問題なく作動するか点検を実施します。
その結果を書類作成し、消防署へ報告する代行業務です。
他には消防訓練の立会やアドバイス、点検時に見つかった不備箇所の修繕などがあります。
建物を安全に使えるように点検する。以上が消防設備士の仕事内容です。
防災の意義、人の命を守る仕事
防災に関わる仕事は責任が重いです。
人命がかかっているため、設備が作動せず被害が拡大することはあってはなりません。
- 火災報知器が鳴らなくて逃げ遅れた
- 防火扉の前に物があって閉まらなかった
- 消火栓が使えなくて火災が拡大した
これらの話は、実際にあった事故事例です。
ひどい事例では、2001年に新宿歌舞伎町ビル火災がありました。
当時、火災報知器の誤作動が多く、電源が切られてベルが鳴らなかったといいます。
防火扉の前には物が置かれていて、扉が閉まらず避難階段に煙が充満してしまった。
その結果、44人が犠牲になるという事故でした。
もし、消防設備点検が適切に実施され修繕も行なっていれば防げたかもしれません。
そんな事故を起こさないために、消防設備点検をしっかり行い、助かる可能性を上げるために維持管理が重要なのです。人命にかかわるので、常に防災の意義を考える必要があります。
防災の意義、人の命を守る仕事
消防設備は無人の場合でも高い防災効果を発揮します。
一部の設備には火災の熱源や煙を感知すると自動で作動し、消火を行う設備があります。
例えば、スプリンクラー設備。
夜間、無人の建物で火災が起きても、熱源を感知し水が出て消火する設備です。
私の点検先のお客様の事例では、大きな旅館の無人エレベーターホールから出火しましたが、自動でスプリンクラーが作動して消火されたため大事には至りませんでした。
もしスプリンクラーが付いておらず火災が拡大していたら大惨事になることが考えられます。
旅館で、万が一のことがあると新聞にも載りますし、信用問題になります。
消防設備の重要性を理解して、常に使用できる状態にしましょう。
03.会社や現場の防災意識は大丈夫か?
会社や現場の防災意識は大丈夫ですか?大事なことは3点あります。
- 消防設備で気を付けるポイント
- 管理する建物の消防設備を確認する
- 消火器の設置位置を把握しているか
それぞれ見ていきましょう。
消防設備で気を付けるポイント
消防設備を使うのは消防署の方でも消防設備士でもありません。設備を使うのは所有者や関係者の方です。
点検している消防設備士が熟知していても意味がないので、人任せにせず自分でやってみる気持ちが大事です。
訓練や点検に来た方に質問して使い方を学びましょう!
管理する建物の消防設備を確認する
建物にどんな消防設備がついているか確認しましょう。
大きい商業施設や病院は、消火栓やスプリンクラー設備の使い方を正しく理解する必要があります。
屋内消火栓やスプリンクラー設備、泡消火設備など建物の面積や収容人員によって設置基準が決められて、水平距離で個数が算出されています。
建物内を確認していくと消火栓が見つかると思います。
皆さんが使っている建物のいたる所にあるはずなので、隙間時間や就業中に設置場所を見つけてみましょう。
消火器の設置位置を把握しているか
消火器は消防設備の基本です。
歩行距離20mおきに1本設置するという消防法の決まりがあります。
消火器の点検に入ると、テナントの入れ変えや配置換えによって消火器が移動されてることがよくあります。
また、倉庫やバックヤードの荷物が多く、消火器が埋もれていることが多いです。
有事の際には消火器で火が消せないと、火災が拡大する恐れがあるので消火器の位置を把握することが大事です。
04.漏電火災の予防に気を付けるポイント
老朽化した建物には、漏電火災に気を付ける必要があります。
簡単な予防策では
- たこ足配線をしない
- コンセントの埃を払う
などがあります。
専門的なポイントでは絶縁抵抗計を使って漏電を調べます。
ブレーカーを遮断し配線の二次側を測定します。
古い建物では、配線が劣化していたり、ネズミにかじられていることがありました。
これが火災の原因になります。
絶縁抵抗計を使えば数値を見て配線の不具合を判断できます。
不安に思う方は電気の設備業者に確認しましょう。
05.防災についてのまとめ
- 防災知識について意識するべきポイント
- 消防設備士が考える防災の重要性
- 会社や現場の防災意識は大丈夫?
- 漏電火災の予防に気をつけるポイント
火事を起こさない、起きてもすぐ消せるよう日頃から訓練を実施する
防災の重要性は消防設備の使い方を理解して、万が一に備えて訓練が必要です。
商業施設や病院などは消火器が移動されていたり、消火栓が隠れていたりします。
たこ足配線やコンセントに注意。絶縁抵抗計を使って漏電をチェックする
防災は自分で行動して、火災から守るために考えます。
消防設備を上手に活用して、防災に努めていただきたいと思います。
万が一の備えをして安心な生活を送りましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。