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【感電とは?】人体への影響や防止策、感電時の対処法と安全用具について解説します!

【感電とは?】人体への影響や防止策、感電時の対処法と安全用具について解説します!
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「感電って何?人体にどんな影響があるの?」
「感電時の対処方法や防止策について知りたい」

とお考えではありませんか?

感電は、電流が人体に流れて大地に逃げることで痛みなどの症状を伴う現象です。流れる電流が大きいと最悪の場合、命を落とす可能性があります。

そのため感電が起こる仕組みと防止策、対処方法について把握しておくことが大切です。

こちらのページでは、感電による人体への影響や防止策について解説します。感電時の対処方法や安全用具についても解説していますので、ぜひご覧ください。

01.そもそも感電はなぜ起こる?

まずは、感電がどういったものか解説します。ここでは感電の仕組みや原因、感電しやすい作業についてみていきましょう。

感電の仕組み・原因

感電は、電流が人体に流れることで体の痛みや筋肉の硬直といった症状を受けることです。人体に電流が流れるケースとして、以下の2つが挙げられます。

  • 電圧が生じている電線や機器に触れ、人体に電流が流れて大地に逃げる
  • 漏電箇所に触れ、電流が人体に流れて大地に逃げる

両方とも考えられるパターンですが、多いのは前者のケースです。そのため、電圧が生じている箇所を把握して触らないことが感電を避けるために大切なポイントとなります。

また電圧が触れている場所に人体が触れて電流が流れるのは電位差が生じるためです。

まず、大地の電位は0Vです。人体の足は大地に触れているため、足の電位も0Vとなります。このときに100Vの電圧が生じている場所に手が触れた場合、大地間との電位差は100V-0V=100Vとなって電圧が発生し、電流が手を通って足に流れて感電します。

これが感電の仕組みです。ちなみに電線の上にある1本の電線に鳥が止まっても、電位差は生じないため、鳥に電流は流れず感電することがありません。

感電しやすい作業

先ほど、感電の仕組みと原因について解説しました。そこから分かるのは「電圧が生じている箇所に触れる可能性がある作業」が感電しやすい作業であるということです。

  • 活線状態の電気工事士
  • 一部停電しての電気工事
  • 一部停電しての点検作業
  • 大規模設備の点検・工事

上記のような作業は、感電のリスクを伴います。そのため、実際の現場では感電の防止策としてさまざまな取り組みを導入しているのが特徴です。

感電の防止策については後述します。

02.感電が人体に及ぼす影響

感電が人体に及ぼす影響は「流れる電流の大きさ」で変わります。ここで大切なのが触れた電圧の大きさではなく、流れる電流の大きさに影響するといった点です。

以下のように、流れる電流の大きさによって人体にさまざまな影響を及ぼします。
1mA  ・・・ 痛みは大きくないが電気を感じる程度
5mA  ・・・ 痛みを感じる
10mA  ・・・ 強い痛みを感じる
20mA  ・・・ 痙攣して動けなくなる可能性がある
50mA  ・・・ 非常に危険、命を落とす可能性がある
100mA ・・・ 致命傷となって命を落とす可能性が高い

よくある間違いとして、電圧が大きさに比例して症状が決まるといった意見があります。完全に間違えてはいませんが「電圧が大きいと流れる電流の値が大きくなり強い症状が出るリスクが高くなる」というのが正確です。

例えば、濡れてる状態だと人体の抵抗が小さくなるので小さな電圧でも流れる電流は大きくなります。「死にボルト」とも呼ばれますが、42Vの小さな電圧で命を失う危険があるほどです。

そのため電圧が小さいからといって油断せず、安全に準じた作業が現場では求められます。感電を防止するための注意は徹底して行いましょう。

03.現場での感電を防ぐための3つの注意・防止策

実際の現場では、感電を防ぐために3つの注意・防止策があります。

  • 安全用具を着用する
  • 検電を行った後に作業する
  • 報・連・相を徹底する

それぞれの防止策について詳しく解説します。

防止策①安全用具を着用する

現場で感電を防ぐ場合、大切なのが安全用具を着用することです。安全用具は、電圧が生じている場所に触れたとしても絶縁性能が高いので人体に電流が流れず、感電が生じるのを防ぐ役割があります。

  • 電気工事用ヘルメット
  • 絶縁ゴム手袋
  • 高圧絶縁長靴

現場で感電を防ぐために用いられる安全用具としては、上記があります。ヘルメットは頭、手袋は手、長靴は足といったようにそれぞれで感電を防ぐのが特徴です。

実際の現場ではゴム手袋とヘルメットの2つをメインに使用し、高圧箇所の工事になると長靴も着用するといったケースが一般的です。

防止策②検電を行った後に作業する

現場で作業する場合、触れる前に必ず「検電」と呼ばれる行動を取ります。検電器によって電圧の有無を確認し、電圧が生じてないのを確認して触れるといった流れです。

電気の現場では時々、一部の箇所だけを停電して作業するといったことがあります。その際、誤って無停電状態の箇所に触れて感電するケースが多いです。

それを防ぐために、まずは検電して停電状態を確認してから作業するといった流れを現場では徹底しています。検電を徹底していると、検電なしで電線を触ったりするのは怖くなるほどです。

防止策③報・連・相を徹底する

現場では、報告・連絡・相談の徹底が非常に重要です。情報を共有することで感電のリスクを減らせます。

例えば、作業前の危険予知やミーティングで停電箇所・無停電箇所を共有し、今回の作業で注意すべきポイントなどを全員に共有します。

他には、絶縁抵抗測定などで一時的に回路に電圧をかける場合、誰かが触れていると感電になるので回路から離れるよう注意を促すことも大切です。

現場によっては班編成を組んで行動を取ることもあるため、報告・連絡・相談は作業の効率を上げたり感電のリスクを減らしたりするうえで重要な行動と言えます。

補足:家庭での感電防止は濡れた状態でプラグなどに触れないことが大切

もし現場ではなく家庭においての感電防止を徹底したい場合、大切なのは濡れた状態でコンセントのプラグなどに触れないことです。

水に濡れていると人体の抵抗値が下がり、電気が流れやすくなります。その際に流れた電流値も通常より大きくなりがちなので、濡れた状態でプラグに触れるのは避けましょう。

また小さな子どもがご家庭にいる場合は、コンセントカバーを使うのもおすすめです。子どもがコンセントの差込口に手を持っていって感電するケースを防げます。

このほか、冷蔵庫・洗濯機など水気のある場所で使用する電化製品は接地(アース)を心がけてください。漏電した場合における人体の感電を防ぐことが可能です。

04.もし感電した場合は?感電時の対処方法

ここまで、感電の仕組みや原因、感電を防ぐための防止策について解説しました。では、もし感電した場合はどのように対処するのが良いのでしょうか?

自分が感電した場合と他人が感電した場合の2つにわけて、それぞれの対処方法について解説します。

自分が感電した場合の対処法

自分が感電した場合の対処法です。意識がない場合はどうしようもないため、ここでは感電した際に意識があることを前提として解説します。

感電した際に意識がある場合、致命傷のリスクは低いです。次の流れに従って対処してください。
1. 火傷や傷の有無を確認して身体の状態を把握
2. 応急処置などを行う
3. 医療機関で症状を確認して治療を受ける

まずは火傷や傷の有無を確認して、感電した部位や身体の状態を確認しましょう。その後、水やアイスロンで火傷部位を冷やすといった応急処置を取ってください。
その後、医療機関で症状を確認して適切な治療を受けることが大切です。自分の判断で行動せず、医師に状態を確認してもらって指示に従いましょう。

他人が感電した場合の対処法

他人が感電している場合、絶対に防がなければいけないのは「二次災害による自身の感電」です。そのため、感電しているのを目撃しても落ち着いて適切な行動を取りましょう。

まずは感電している負傷者を電気から引き離します。直接触れると自分も感電するリスクが高いため、ブレーカーや電源を落としたり、コンセントを抜いたりして電気が発生しないようにしましょう。

その後、感電に注意しながら負傷者を安全な場所へと引き離し、身体の状態を確認してください。意識の有無や外傷の有無を確認して、救急車を呼んだり医療機関に連れていったりしましょう。

また感電は、体内への影響も考えられます。そのため、負傷者が拒んだとしても医療機関にて受診し、指示に従って治療を受けるよう促しましょう。

05.安全用具って何?感電から身を守る安全用具

感電から身を守る安全用具として、主に次の2つがあります。

  • 絶縁ゴム手袋・長靴
  • 検電器

また安全用具ではありませんが、漏電遮断器も感電から身を守るための電気機器です。それぞれの用具・機器について詳しく解説します。

用具①絶縁ゴム手袋・長靴

感電から身を守るための安全用具としてまず挙げられるのが絶縁ゴム手袋・長靴です。それぞれで手・足を守る役割があります。

絶縁ゴム手袋と長靴はそれぞれで絶縁性能が高く、通電箇所に触れたとしても電流が流れるのを防ぐのが特徴です。ゴム手袋などは低圧用と高圧用などがあるため、実際の現場でも多く使用される保護具となります。

ただしどんな電圧でも防げるわけではありません。電圧が非常に高くなると絶縁破壊が生じて電流が流れます。

それでも装着していない場合と比べて感電のリスクを大幅に減らせるため、作業時に装着しておきたい保護具です。

用具②検電器

検電器は、厳密には感電を防ぐための保護具ではありません。回路の通電状態を確認して触れても問題ないかどうかを確認するための機器です。

現場では検電器を必ずと言っていいほど重宝します。というのも電気は目に見えないため、パッと見て電気が通っているかどうかを確認できません。

特に大型の電気設備になるとさまざまな回路の電線が通っているため、触れた回路が通電状態で感電するといったリスクが生じます。

そのため、作業前に検電したり電線に触れる前に検電したりすることで感電のリスクを減らせます。先ほど解説した保護具の着用とあわせることで、より感電のリスクを減らすことが可能です。

補足:漏電遮断器

漏電遮断器は、漏電を検知すると電気を遮断する装置です。一般家庭においては、住んでいる方が感電しないために設置されています。

漏電箇所に人体が触れるとそこから大地に流れて感電します。他にも漏電を放置すると、火災の原因につながることもあるため、漏電が発生した際は直ちに回路を遮断しなければいけません。

漏電遮断器には「感度電流〇mA」「動作時間0.1秒以内」といったように決まりがあり、漏電が生じた際はすぐに回路を遮断して電気災害を防止するのが特徴です。

まとめ

本記事では、感電による人体への影響や防止策について、感電時の対処方法や安全用具とあわせてご紹介しました。

漏電箇所や通電箇所に人体が触れて電流が流れる現象が感電です。感電すると強い痛みが生じたり、最悪命を落としたりする可能性があります。

そのため、安全用の保護具を着用して作業することを意識してください。他にも検電を徹底して通電状態を確認してから作業に着手しましょう。

もし感電した場合や他人が感電しているのを目撃した場合は、焦らずに対処してください。本記事の内容を参考に、適切な処置を取ることが大切です。

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Written by書いた人

ワタル

【取得資格】第二種電気工事士、第一種電気工事士、電験三種、エネルギー管理士(電気分野)、消防設備士乙種6類
【職歴】電気科新卒→大手電力グループ会社に入社→電気主任技術者として勤務→2019年1月退職→フリーのWebライター兼編集者として活動。
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