【どこよりも易しく解説】電気工事士試験で登場する複線図の書き方|基本と対策方法
電気工事士の技能試験は、出題された配線図を欠陥なく施工する試験です。ただし、出題された状態の配線図は「単線図」と呼ばれるもので、そのままでは施工できません。
そこで、技能試験に合格するためには「単線図」の状態から「複線図」に書き起こし、施工しやすい状態を作ることが大切です。
本記事では、電気工事士技能試験で登場する複線図の書き方について解説します。基本的な書き方から技能試験の対策方法までご確認ください。
目次
01.単線図と複線図ってそもそも何?
電気工事士の技能試験は「単線図」と呼ばれる配線図で出題されます。ただし、単線図だけでは施工しづらいので「複線図」と呼ばれる図面に書き起こす力が必要です。
ここでは、単線図と複線図の特徴をそれぞれ解説します。
単線図|配線は簡単、施工が難しい
単線図は、電路における配線を1本の線で表したものです。単線結線図と呼ばれることもあり、電気設備の回路を簡単に把握できます。
単線図のメリットは、とにかくシンプルなことです。線が少ないので簡潔で見やすく、誰でも電路の概要を把握しやすい点が単線図のメリットと言えます。
一方でデメリットは、線が1本なので実際の施工では扱いづらい点です。電線数や機器との接続のイメージが湧きづらいので、単線図だけではミスが起こりやすくなります。
単線図は、電路の概要を伝えるのに特化していると言えるでしょう。
複線図|施工が簡単、配線が難しい
複線図は、電路の配線を複数の線で表したものです。実際に施工する際、電線と器具をどのように接続するかといった内容を詳細に記載します。
そのため、器具と電線をどのように接続するか分かりやすいのがメリットです。電線の本数や太さ、リングスリーブの刻印などが一目で分かります。
一方でデメリットは、図面が単線図よりも複雑になる点です。複線図を理解している人でなければ、共有するのにも向いているとは言えません。
複線図は、電路を実際に施工するために用いる図面と言えるでしょう。
02.複線図の基本的な書き方
技能試験本番で複線図を書く際、基本的には次の順序で進めましょう。
1.施工条件を読む
2.電源線と器具を配置
3.電源の白線と器具を接続
4.電源の黒線と器具を接続
5.スイッチと該当する器具を接続
6.色と圧着の刻印を書いて完成
上記を素早く丁寧にできるよう練習してください。
ポイントは「いきなり全部を覚えるのではなく徐々に覚えること」です。候補問題は全部で13問あるため、1問あたりで1つずつの感覚を確かめてもそれぞれ2回は重点的に繰り返せます。
「No.1の練習では○○を意識してみよう」といった感覚で13回繰り返すと自然と力はついてきます。後は、候補問題の複線図を2〜3周行うだけです。
本番の緊張による焦りで間違わないよう、練習の段階から基礎を徹底して対策しましょう。
03.複線図の書き方|実践例
本記事では「一般財団法人 電気技術者試験センター」にて公表されていた令和5年度の候補問題No.1を例に解説します。単線図は以下をご覧ください。
※令和5年度第二種電気工事士技能試験候補問題
▼候補問題No.1 単線図
ここでは、上記の単線図を複線図に書き起こしてみましょう。書き方の手順としては、以下の通りです。
1.単線図通りに器具と電源線を配置
2.接地相(白線)とコンセント・負荷を接続
3.非接地相(黒線)とコンセント・スイッチを接続
4.スイッチと該当する器具を接続
5.電源の色など細かな情報を記載
それぞれの詳細について詳しく解説します。
手順①単線図通りに器具と電源線を配置
試験が開始されたら、まずは施工条件を確認し単線図通りに器具と電源線を配置しましょう。いきなり接続するのではなく、順序立てて進めることが大切です。
1.単線図通りに電源線と器具を配置
2.スイッチの「イ・ロ・ハ」を記載
3.電源線の太さと色を記載
この段階で記載するのは上記の3つです。施工条件と記載を終えたら、次の手順に進んでください。
手順②接地相(白線)とコンセント・負荷を接続
続いて、電源の接地相(白線)とコンセント・負荷の接続を行いましょう。今回はコンセントがないので負荷との接続です。
- ランプレセプタクル
- 引掛けシーリング
- 照明
今回の例題では、上記の3つが電源の白線との接続対象です。コンセントがある場合は、同様に電源の白線と接続してください。
電源の白線を接続することで電流の抜け道が完成します。これに加えて、電源の黒線が負荷を通して接続されることで電路が成り立つといった仕組みです。
手順③非接地相(黒線)とコンセント・スイッチを接続
次に、電源の非接地相(黒線)とコンセント・スイッチとの接続を行いましょう。例題ではコンセントがないため、スイッチのみとの接続です。
- 電源の黒線からイのスイッチ
- イとロのスイッチを渡り線で接続
- ロとハのスイッチを渡り線で接続
上記の通りに接続します。コンセントがある場合は、同様に電源の黒線と接続してください。
ここまでで、基本的な回路は完成しています。あとは、スイッチと器具を接続して電気を使用できる状態にするだけです。
手順④スイッチと該当する器具を接続
電源線と器具を接続完了できたら、スイッチと該当する器具を接続することで回路自体は完成します。
- イ:引掛けシーリング
- ロ:ランプレセプタクル
- ハ:照明
今回の例題で接続するスイッチと器具の関係は上記の通りです。単線図と施工条件を確認しつつ、間違えないように接続しましょう。
また、問題によっては接続するスイッチと器具が変わります。その点のみ、臨機応変に対応する力が必要です。
手順⑤電源の色など細かな情報を記載
上記で接続は終えているため、後は電線の色やリングスリーブの刻印サイズなどを記載して複線図は完成です。施工条件を見ながら回路を確認しつつ、細かな情報を記載しましょう。
中でも、リングスリーブの刻印サイズは注意が必要です。
電線の本数や太さの組み合わせに適した刻印で圧着しなければ欠陥となります。次の表からリングスリーブの刻印サイズと電線の関係をご確認ください。
技能試験では、電線の色とあわせてリングスリーブの選定も対策しておきましょう。焦らずに素早く記入できるようになることが合格への第一歩です。
今回の複線図が完成したら他の候補問題の複線図も繰り返し書いて感覚を掴みましょう。試験は候補問題から1問出題されるので、数をこなして損はありません。
電気工事士技能試験の効率的な対策方法
電気工事士の技能試験を効率的に対策するための方法として、次の3つが挙げられます。
- 候補問題の複線図を2~3周書いて覚える
- 電線の処理、器具との接続から行う
- 候補問題を2~3周施工する
ここでは、それぞれの対策方法について詳しく解説します。
対策方法①候補問題の複線図を2~3周書いて覚える
まずは、候補問題の複線図を2~3周書いて素早く書けるよう対策しましょう。目安としては、試験開始から3~5分の間で完成させることです。
本記事でご紹介した方法を徹底して繰り返すことで必ず力は身につきます。「施工条件を読んで順番通りに書く」ことを意識してください。
候補問題全13問を2~3周繰り返して覚えることが技能試験合格までの1つ目のコツです。
対策方法②電線の処理、器具との接続から行う
複線図が書けるようになったら実際に施工を行いましょう。そこでは「1つ1つの作業を分割して行うこと」を意識してください。
技能試験の作業を分割すると、次の通りにわかれます。
- ケーブルの切断
- ケーブルの被覆剥き
- 器具との接続
- 電線間の接続
- 圧着
- 確認作業
大切なのは「並列して行うのではなく1つずつ終わらして次に進むこと」です。違う作業を並行させると頭の整理がつかずミスにつながります。
本番では緊張から焦りが出たり力が入りすぎたりするので、1つ1つの作業を焦らず丁寧に行うことが大切です。
対策方法③候補問題を2~3周施工する
実際に候補問題を1周して感覚を掴んだ後は、実際に時間を測りながら練習しましょう。全13問を2~3周することを目安に対策してください。
3周終わる頃には、実際の試験時間内に施工が完了できるようにしましょう。時間内に欠陥なく施工できるのであれば、試験に合格する力は確実についています。
後は、本番でミスをしないよう施工条件を読む癖や欠陥に対する知識の幅を広げてください。本番の緊張による焦りでミスをしないよう対策することが大切です。
まとめ
本記事では、電気工事技能試験の複線図の書き方について、基本と試験の対策方法とあわせてご紹介しました。
複線図は、単線図と違って複数の線で図面を表すため、複雑で分かりにくくなるのが特徴です。しかし、順序立てて書くことで施工しやすい状態を作り出せます。
まずは、候補問題の複線図を2〜3周分記載して頭に覚えましょう。その後、実際に2〜3周分の施工を効率良く行うことで合格する力は身につきます。
本記事の内容を参考に、複線図の書き方をマスターしてください!
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