【設備編】
インテリアゾーン
インテリアゾーンとは、オフィス室内の窓や外壁から3〜6m以上離れた内部のスペースを指す。
室内の中央部分は空調の効果が大きく、日差しや外気により温度が影響されにくいエリアとなっている。
オフィス中央のインテリアゾーンは冷暖房が快適な設定になっているが、壁際のペリメーターゾーンでは冷暖房の効きが悪く、暑さや寒さが厳しいことが多い。
近年では壁際のペリメーターゾーンの不快感を解消する空調設備も登場している。
ペリメーターゾーン
ペリメーターゾーンとは、オフィス室内の窓や外壁から3〜6m以内のスペースを指す。
窓や外壁に近いため外気温や日光などの影響を受けやすいエリアとなっている。
ペリメーターゾーンでは、空調が効きにくいため、オフィスの空調を強くしてしまうと、オフィス内部のインテリアゾーンでは、空調が効きすぎてしまう問題がある。
ペリメーターゾーンへの対策を怠るとオフィス内のトラブルに繋がるため、対策は重要となる。
エア・フィルタ
エア・フィルタとは、空気中のゴミや埃を取り除き、キレイにする機器である。
フィルタを設置することで、空圧機器の故障を低減できる。
使用用途によってフィルタの粗さは異なり、目が細かくなればゴミを取り除きやすくなる。粗さが細かいフィルタは詰まりやすくなるためメンテナンス頻度が増えてしまう。しかし、粗さの違う複数のフィルタの使用で改善できる。
材質は、金属や樹脂のものがあり、用途によって材質と粗さを使い分けるのが重要である。
エアハンドリングユニット(エアハンまたはAHU)
エアハンドリングユニットとは、大規模な室内に使用される業務用エアコンの室内機。
主な構成は、フィルター、加湿器、ファン、熱交換器を組み合わせたものとなっている。
エアハン内部で作られた、冷風や温風を部屋に送り室温を管理する。通常のエアコンは室内の空気を冷風や温風に変え空調するが、エアハンは室外の空気を冷風や温風に変え室内に送る違いがある。
種類は標準形、水平形、屋外形などさまざまのものがる。基本的に建物ごとに特注で製造することが多数。
主に、ショッピングモールや工場など大規模の施設に設置されている。
キュービクル
キュービクルとは、金属の箱に電気を変圧する機器が収まっている設備のことである。
発電所から送られる電気は6600Vであり、コンセントや照明などに使用するためには100Vや200Vに変圧しなければならないため、キュービクルが設置される。
電力会社との契約で50kw以上の電気をたくさん使う施設に必要となる設備のため、一般家庭などには設置されていない。主に商業施設や工場、病院などのような施設の屋上や駐車場に設置されている。
安全性が高い、設置が容易などのメリットもある。注意点として、一度設置をすると設備を拡張するのに大きなコストと時間が必要になる。
給排水設備(きゅうはいすいせつび)
給排水設備とは、建物に水を供給、排水するための設備全般を表す。
主な役割として、上水道から飲料用の水を建物に送る給水の役割とトイレや浴室などからの水を下水道に排水する役割を有する。
給水設備は給水配管、給水ポンプ、給水タンクなどがあり、排水設備には排水配管、排水ポンプがある。
給水設備が劣化しサビが発生、下水と上水が混ざってしまうなどの不具合が発生すると健康被害が発生する可能性が生じる。また排水設備の劣化は下水に水が流せなくなるなど、建物が不衛生な状態になる危険もある。
そのため、給排水設備のメンテナンスはとても重要になります。
高架水槽(こうかすいそう)
高架水槽とは屋上に設置される、水を貯めるタンクのこと。中高層のビルやマンションなどの建物に設置されている。
中高層の建物では、一度に大量の水を使用されてしまうと、供給が不十分になってしまう可能性がある。そのため、ポンプで屋上のタンクに水を溜めてから自然落下を利用して各部屋に給水することで水の供給が不足するのを防げる。
高架水槽のメンテナンスを怠ると、水の状態が不衛生になり健康被害を引き起こす可能性もある。そのため、オーナーなどの所有者は衛生管理の徹底が求められる。
呼水槽(こすいそう)
呼水槽とは、ポンプを起動した際に即座に水が出るようにポンプ内に水を満たしておくためのタンク。ポンプ内が水で満たされていない場合、空気混入のため水が出ず、摩擦により破損する可能性がある。
実際にポンプ内が水で満たされているか確認する際は、ポンプ上部のバルブを開け水が出てくれば呼水ができていると判断できる。
呼水槽をポンプの吐出配管の途中およびポンプより高い位置に設置することで重力によって吐出配管を通りポンプを水で満たせる。
注意点として呼水槽を設置する際には、逆止弁や制御弁をつけることで呼水槽や消化水槽が溢れてしまう問題を対策する必要がある。
遮断器(しゃだんき)
遮断器とは、電気回路を開閉する機器。
通常、回路に流れる電流を手動で開閉。短絡、漏電などの異常が発生した際に、過大な電流を自動で遮断できる。
負荷電流が流れている状態で開閉を行っても、アークを防止するため安全に開閉を行える。
種類は大きく低圧用・高圧用の2種類がある。低圧用には配線用遮断器、漏電遮断器。高圧用・特別高圧用では、空気遮断器、油遮断器、ガス遮断器などがある。
ヒューズとは違い異常時、自動で遮断しても何度も開閉が可能となっている。
真空ボイラ(しんくうぼいら)
真空ボイラとは、容器内を真空状態で密閉し熱媒水を80℃で沸騰させ、その蒸気を使い給水管の水を温水に変える装置。
通常ボイラは容器内で直接水を加熱して温水に変えている。そのため、「管理を間違えると大きな事故に繋がる」「利用温水が汚れしまう」などのデメリットがある。
真空ボイラでは、「湯温が安定している」「利用温水の汚れが少ない」などメリットが多数。
また、膨張や破損の恐れがないため、届出や検査が不要、資格なしでも安全に取扱が可能となっている。
進相コンデンサ(しんそうこんでんさ)
進相コンデンサとは、交流回路にて力率を改善するための電気機器である。
通常、電動機や照明を使用する際、電気の効率が低下するため電力損失が大きくなる。電力損失が大きくなると実際に使用している電気より多い金額を払わなければならない。
そのため、高圧進相コンデンサを使用することで力率を改善。電力損失を小さくし電気の無駄を減らすことができる。
高圧進相コンデンサは主に、キュービクルや受電所などの高圧受電設備に設置されていることが多い。
また、単相交流の誘導モーターでは、回転子と固定子の間に進相コンデンサを入れ使用する場合は「始動コンデンサ」と呼ぶ。
全熱交換器(ぜんねつこうかんき)
全熱交換器とは、建物の換気をする際、排気する空気から「熱」と「湿気」を屋内に戻す省エネルギー装置。全熱交換器には回転形と静止形の2種類がある。
回転形では、吸湿性を持ったローターを回転させ、熱や湿気を蓄え吸排気を行う。
静止形では、紙や不織布を使用し換気をする。熱や湿気を紙(不織布)に蓄え、吸排気を行う。
熱交換効率はメーカーによって異なり70〜90%となっている。
近年、住宅では機密性、断熱性が向上した。そのため換気不足によるシックハウス症候群の対策として2003年に建築基準法が改定され常時換気設備の設置が義務付けられた。
全熱交換器を設置することで常時換気を行った場合でも、室内温度を下がりにくく空調エネルギーの損失低減が可能。
断路器(だんろき)
断路器とは点検作業や工事作業の際、1次側と2次側の回路を確実に切り離すための装置。
主に高圧遮断器の上位に設置され、遮断器の点検や交換が必要な際に、断路器によって回路の切り離しを行う。
断路器の切り離しをする際は、ディスコン棒と呼ばれるフック棒を使用し開閉を行う。
フック棒は絶縁性の高い吸水性のない部材が用いられる。
注意点として、断路器は負荷電流が流れている状態で開放すると、アークが発生し危険なため、必ず無負荷で開放を行わなければならない。
ターボ冷凍機(たーぼれいとうき)
ターボ冷凍機とは、フロンガスなどの冷媒を利用し、ターボ式のコンプレッサによって圧縮を行い冷たい水を作る装置。
構造としては、蒸発器によって冷媒を蒸発させる際、周囲の熱を奪う。水を蒸発器に通過させることで熱が奪われ冷水となる。
蒸発した冷媒ガスは圧縮機(ターボ)によって加圧され、凝縮器内で冷却水を通し冷媒を液体に戻す。このように冷媒を液体と気体に何度も繰り返し冷水を作る。
蒸発器によって作られた冷水を利用し工場や大規模施設の冷房として使われている場合が多い。
避雷針(ひらいしん)
避雷針とは、落雷の被害を避ける装置。「雷を誘導して落とすタイプ」と「落雷の発生防止タイプ」の2種類がある。
前提として、雷はいきなり地上に落ちない。まずステップリーダと呼ばれる小さな放電を上空から放つ。それに呼応し、帯電している地上からストリーマと呼ばれる小さな放電を放つ。
ステップリーダとストリーマが繋がったときに大きな放電が起こり落雷が起きる。
雷を誘導して落とすタイプでは、針状の金属の棒からストリーマを放ち、雷を優先的に落とし地面に逃がす。フランクリンロッドやESE避雷針などの種類がある。
落雷の発生防止タイプでは、避雷針の周辺からストリーマの放たないようにすることで落雷の発生を防ぐことが可能。PDCE避雷針と呼ばれ成功確率が100%では無いが、フランクリンロッドなどに比べ落雷防止の確率が高く、安全性も高い避雷針となっている。
膨張タンク(ぼうちょうたんく)
膨張タンクとは、温水の圧力上昇を抑えるための容器。
水は温度が上昇すると、比体積がわずかに上昇し膨張する。そのため、設置機器のパンクや漏れの要因になるので、膨張タンクを設置し水の圧力を逃がす必要がある。
主に、開放式膨張タンクと密閉式膨張タンクの2種類がある。
開放式はタンクを一番高いところに設置し、水の体積が増加するとタンクの水位も上昇する。そして水位が高くなると、オーバーフロー配管から排水される。
密閉式は、タンク内が2つの部屋に分かれており、それぞれの部屋に水とガスが入っている。水の体積が増加すると、タンク内のガス室が縮小し急な圧力上昇を防げる。
コンバータ
コンバータとは、交流の電気を直流に変換するための回路。(AC-DCコンバータ)
ダイオードで交流の電気を整流させ、コンデンサに充放電させることで直流の電気に変換する。
他にも「直流から直流」「交流から交流」のような機器もコンバータと呼ばれている。どちらも、必要な電圧に変換、安定させるために使用される。
半導体部品はほとんどが直流で動作する。そのため、交流で送られてきた電気を直流に変換しパソコンやスマートフォンに供給する必要がある。そのため、パソコンやスマートフォンのACアダプタに使用されている。
インバータ
インバータとは、直流の電気を交流に変換する回路。一般に、交流の電気の周波数や電圧を変換するインバータ装置のことを指すケースもある。
インバータ回路では、スイッチチング技術でスイッチのオンオフを繰り返すことで直流を交流に変換できる。
インバータ装置は、「コンバータ回路」「コンデンサ」「インバータ回路」の3つの要素で作られている。
コンバータ回路で直流の電気に変換。コンデンサで直流の電気を安定させ、インバータ回路で交流の電気に任意の周波数や電圧に変換する。
インバータ装置を使うことで、モーターの回転数を制御できるため、家電やエレベーター、工場のコンベアなどさまざまな場面で使用されている。
短絡(たんらく)
短絡とは、電気が負荷を通らずに通電する現象。ショートとも呼ばれる。
短絡した状態で通電を続けると、「電気の消耗が激しくなる」「機器が故障する」などの損失が生じる。また「回路内が過熱し火災になる」「アークが発生し感電する」などの危険もある。
主な原因としては、回路内での異物の接触や配線処理のミス、配線の誤接続などがある。
配線用遮断器の使用で、短絡が発生し設定値以上の電流が流れた際に自動で回路を遮断。これにより火災や、回路内の機器の故障などの事故を防止できる。
ライフサイクルコスト
ライフサイクルコストとは、製品や建物などが作られてから、役割を終えるまでにかかる費用を全て合計したもの。
総合的に考えることで中長期的な会計管理を行えるため重要な指標の一つ。
ライフサイクルコストは、イニシャルコストとランニングコストの2つの費用からなる。イニシャルコストとは、初期費用。ランニングコストとは、その物を使い続けるために必要な費用を指す。
建物を例にあげると、購入するための初期費用がイニシャルコスト。税金や修繕費、エネルギー費、保険費用などがランニングコストになる。
ライフサイクルコストは建物を建設する前にほとんど決まってしまうため、建設前に検討することが重要である。