資格

【電気主任技術者が解説】電験三種合格の大変さと取得のメリット!

【電気主任技術者が解説】電験三種合格の大変さと取得のメリット!
SHARE

「電験三種に合格するのって大変?」
「電験三種って取得して本当にメリットあるの?」

とお考えではありませんか?

電験三種は、毎年の合格率が10%未満と非常に低い試験です。そのため、取得難易度に対して資格が役立つのか気になるといった方は少なくありません。

そこで本記事では、電験三種を取得して電気主任技術者として勤務経験のある筆者が、電験三種合格の大変さやメリットについて詳しく解説します。

よくある質問についてもお答えしていますので、ぜひご覧ください。

01.電験三種に合格する大変さはどのくらい?

本記事を執筆している筆者は、以下の資格を取得しています。

  • 第二種電気工事士
  • 第一種電気工事士
  • 電験三種
  • 消防設備士乙種第6類
  • エネルギー管理士 電気分野

このほか、電験二種の第一次試験まで合格した経験がありますが、それを踏まえても電験三種の取得が一番大変だったと感じています。

第一種電気工事士から電験三種を取得したのですが、難易度が違いすぎてモチベーションが下がったり新しく覚える範囲が非常に多かったりしたためです。

過去数年間の合格率や筆者が合格にかかった期間、特につまずきやすいと感じた点について詳しく解説します。

合格率はかなり低い試験

電験三種の過去3年間における合格率は、次の通りです。

参考:一般財団法人 電気技術者試験センター
上記表を見ると、電験三種の合格率は10%前後であることが分かります。ただし、1科目単位で見ると15%を超える場合もあるため、合格が無理というわけではありません。

科目合格制度もあるため、複数回の受験で合格は十分に狙えます。勉強していると自然と解ける問題が増えて合格率に関係なく合格ラインは見えてくるので、気にしすぎないようにすることが大切です。

筆者の電験三種勉強期間は2年間

筆者は、高校2年の時に初めて電験三種を受験しました。お恥ずかしながら全く勉強していない状態であったため、結果は一科目も合格できない惨敗です。

高校3年の時に就職先で電験三種があれば有利との話を聞いたため、そこから勉強を開始したといった流れになります。その年に電力以外の3科目に合格し、社会人1年目に電験三種合格といった経緯です。

勉強時間としては平日1~2時間、休日2~3時間程度の勉強時間を継続しました。ただし、毎日ずっと勉強を継続できたわけではありません。

週に1度程度は「何もやる気が起きないから明日集中しよう」というような日があったので、時々休むこともあります。それでも合格は十分に狙えるので、長い目で見てモチベーションを維持することが大切です!

特につまずきやすいと感じた点

電験三種に合格するまでで特につまずきやすいと感じた点は、主に以下の3つです。

  • 参考書を始めたタイミング
  • 参考書から問題集に切り替えるタイミング
  • 過去問を数年分解くタイミング(1周目)

上記は、筆者が実際につまずいたタイミングです。

参考書を始めたタイミングについてですが、これまでの電気資格と比較して新しい知識が多すぎて何から始めて良いか全く分かりませんでした。範囲も広いので「明日からでいいや」と先延ばしにした結果、1年目の不合格につながります。

次につまずいたのは参考書から問題集に切り替えるタイミングです。参考書は基礎、問題集では応用力が必要となるため、切り替えたタイミングだと実践問題が解けて2〜3問程度でした。

加えて、電験三種では過去問と類似した問題が多く出題されません。そのため、せっかく1年分を解き直しても次の年度の問題で全く解けず「問題解けないしもういいや」と挫折しそうになります。

また、モチベーションを維持するには「最初から全部解けると思わないこと」です。筆者は合格していますが、電験三種を100点で取得したわけではありません。だからこそ、解けない問題があることを自覚して1問ずつ解ける問題を増やして知識を深めましょう。

02.電験三種を取得するメリット

電験三種を取得するメリットは、主に以下の3つが挙げられます。

  • 仕事の業務範囲が大幅に広がる
  • 給料や年収がアップする
  • 就職や転職で有利に働く

それぞれのメリットについて詳しく解説します。

メリット①仕事の業務範囲が大幅に広がる

電験三種を取得すると仕事の業務範囲が大幅に広がります。特に、電気工事士の資格とあわせて取得することで相乗効果が期待できるのが特徴です。

電験三種を取得していると電気設備の保安管理を目的とした点検業務に従事できますが、そこで簡単な異常を発見した場合、日を改めて簡単に修理(工事)するといった場合があります。
その際は電気工事士の資格が必要です。
一方で電気工事士として仕事に従事している方で、電験三種を取得している場合は現場の保安監督を担える可能性もあります。

両方の資格によって電気に対しての知識が深まり、重要な仕事を任せられる可能性もアップするので、資格を取得する大きなメリットと言えるでしょう。

メリット②給料や年収がアップする

企業にもよりますが、資格を取得すると毎月の給料に資格手当がつくことがあります。

筆者の場合、第一種電気工事士一種に5,000円、電験三種に8,000円の資格手当がついていました。年間にすると15万円〜20万円の差がついてくるので、給料・年収アップの観点から見ても電験三種の取得は大きなメリットです。

また資格手当がつかない資格の場合は、一度きりの祝金が出される場合もあります。筆者の場合、エネルギー管理士に合格した際に20,000円支給されました。

資格を取得するとキャリアアップにもつながるので一石二鳥です。年収アップやキャリアアップを目指す方にとっても非常に有効な資格となるでしょう。

メリット③就職や転職で有利に働く

電験三種は取得すると就職や転職で有利に働きます。高校時代「電験三種に科目合格だけでもしておくと採用の可能性はグンと上がる」と言われていたほどです。

企業目線では、既に電験三種を取得した状態の技術者を迎え入れたいというのが本音となります。採用後に現場経験を積むだけで1人前の技術者を増やせるためですね。

そのため「電験三種に合格していないけど2科目や3科目合格して次で取得できそう」といった方も0科目合格の人と比べて有利に働きます。

求人の優遇条件でも「電験三種の合格者又は電験三種に合格できる実力のある者」といった記載がされていることもあるので、そういった企業で有効です。

ただし若い技術者に絞られることがほとんどなので、20代後半以降で転職をお考えの方は、電験三種を取得しての転職をご検討ください。

将来的に自身の技術者としての付加価値を高めて、転職を考えている方は電験三種の取得によって大きなメリットを受けられるでしょう。

電験三種に関するよくある質問に答えます

ここでは、電験三種に関するよくある質問にお答えします。

  • 電験三種が役に立たないというのは本当?
  • 一生職に困らないというのは本当?
  • 周囲からの評価が上がるって本当?

それぞれ詳しく見ていきましょう。

質問①電験三種が役に立たないというのは本当?

電験三種が役立つかどうかは業界によります。

電気業界では役立たないことは基本的にありません。仕事内容ではもちろんのこと、取得しているだけで就職や転職で有利に働くためです。

ただし、電気業界以外への転職を考えている場合に関しては電験が役立たないのは本当です。仕事と全く無関係の資格なので難易度に関係なく企業は人材を求めていません。

これに関しては、業界関係なく言えることですね。例えば、建築士などの資格は電気業界では役立たないことがほとんどです。

そのため資格取得する際は、自分が従事しようと考えている業界に関係したものを優先して取得することをおすすめします!

質問②一生職に困らないというのは本当?

一生とは言い切れませんが、長期にわたって職に困らないのは本当です。電気主任技術者の設置が法律で義務づけられているのが大きな理由となります。

そのため電験三種を取得しているとさまざまな企業から求められる人材となることが可能です。仕事が全く見つからなかったという知り合いの技術者も耳にしたことがありません。

ただし、電気業界は技術力も大切な仕事なので現場で経験を積むことは大切です。車の免許でいうところの「ペーパードライバー」は、他の経験を積んだ技術者よりも付加価値が下がる点だけご注意ください。

そのため取得後は、現場で経験を積んで更なるレベルアップを目指しましょう。

質問③周囲からの評価が上がるって本当?

電験三種を取得すると周囲からの評価は上がります。電験三種が電気系統の資格の中でも難関資格に位置するためです。

また、電気設備は現在も増加しているので、電気設備を点検する電気主任技術者の仕事で必要な電験三種の資格は、需要が下がることもありません。

電気業界に従事している方は、電験三種の難しさを知っている方がほとんどなので、取得していれば自然と評価は上がるでしょう。

04.電験三種は大変さを踏まえても取得するメリットあり

ここまでで電験三種を取得する大変さやメリットについてお話ししてきました。結論、大変さを踏まえても電験三種は取得する価値のある資格と言い切れます。

というのも、何度もお話ししたように電験三種は取得すると需要の絶えない仕事に従事できます。電気主任技術者としての仕事以外でも電気工事業界やビルメン業界の転職に役立つのが特徴です。

そのため取得していると仕事の選択肢が大幅に広がります。企業としても電験保有者の人材は貴重なので、従事しようと考えている業界に入りやすくなるというのは大きなメリットと言えるでしょう。

また、日常生活などで役立つのも大きなメリットです。電気の使い過ぎや停電が発生した際に安全面を踏まえて冷静に対応できるようになるため、非常時は頼られることもあります。

自身のレベルアップや社会的なメリットも踏まえて電験三種は取得する価値のある資格と言えるでしょう。

05.まとめ

本記事では、電験三種を取得する大変さとメリットについて、実際に取得して仕事に従事した筆者目線で解説しました。

電験三種の取得はかなり難しいですが、不可能というわけではありません。科目合格制度などを活用してモチベーションを維持しながら対策することで合格は狙えます。

また、電験三種は取得すると長期にわたって職に困らなくなるのがメリットです。キャリアアップも狙えるので技術者としての付加価値を高めたい方は、積極的に取得をご検討ください。

電験三種は令和4年度から受験回数が年2回に増えました!しかし、受験チャンスが増えても難易度は変わりません。独学で電験三種の勉強をしていて、思うようにいかず悩んでいる方には短期集中型の講座がおすすめです。働きながら受験する場合、限られた時間の中でいかに効率よく学習できるかが重要となります。CIC日本建設情報センターは仕事でなかなか学習時間をとれない方向けにプログラムを組んだ講座を提供しています。また、全科目セットの他に、単一科目講座があるので合格できなかった科目のみや苦手な科目のみ受講することも可能です!気になる方は一度チェックしてみてください。

◆この記事を読んだ方へおすすめ↓
【ルーティン】大手電力グループ会社で勤務する電気主任技術者のある1日

【技術系資格】あなたでもできる!勉強時間を確保する方法。

Written by書いた人

ワタル

【取得資格】第二種電気工事士、第一種電気工事士、電験三種、エネルギー管理士(電気分野)、消防設備士乙種6類
【職歴】電気科新卒→大手電力グループ会社に入社→電気主任技術者として勤務→2019年1月退職→フリーのWebライター兼編集者として活動。
「電気工事士入門の書」

SHARE

GENBAroo(ゲンバルー)は「現場」で「頑張る」人たちを
応援するメディアです!

人々の生活を支えるヒーローのために現場で使えて役立つ情報をお届けします。