WORK

鉄道電気工事士と建設電気工事士とは?仕事内容や必要な資格、年収相場について詳しく解説!

鉄道電気工事士と建設電気工事士とは?仕事内容や必要な資格、年収相場について詳しく解説!
SHARE

鉄道電気工事士建設電気工事士って何?」
「それぞれの仕事内容や必要な資格について詳しく知りたい」

とお考えではありませんか?

鉄道電気工事と建設電気工事は、どちらも「電気工事士」の仕事です。ただし仕事の内容が異なるので、仕事に就く前に自身に適した方がどちらなのか調べておきましょう。

本記事では、鉄道電気工事士と建設電気工事士の概要、それぞれの仕事内容や必要な資格について解説します。年収相場についても解説しますので、ぜひご覧ください。

01.鉄道電気工事士とは?

鉄道電気工事士とは、土木・建築・電気設備の3つの部門にわかれる「鉄道工事」の電気設備部門に位置する仕事です。

電気設備部門では、電車や駅に電気を送るための工事(架線工事や発電設備の工事など)を担います。電気設備の工事全般を担う仕事となるため、仕事では責任感が必要です。

鉄道電気工事士が勤める会社や具体的な仕事内容、必要な資格について詳しく解説します。

1.鉄道電気工事士が勤めるのはどんな会社?

鉄道電気工事士が勤めるのは鉄道会社です。採用している会社の例として、次の企業が挙げられます。

  • JRなどの大手鉄道会社
  • 大手鉄道会社から工事を受注しているゼネコン・サブコン、元請け・一次請けの会社

鉄道電気工事士は大手鉄道会社をはじめ、鉄道会社から工事を受注している会社でも仕事に従事できます。

また企業は、資格保有者や経験者を優先して採用しています。資格を有していると経験を積むところからスタートできるので、一人前の技術者を資格未取得者より早く育成できるためです。

鉄道電気工事士の仕事で必要な資格は、これから解説します!

2.鉄道電気工事士の仕事内容

鉄道電気工事士の仕事内容は、主に次の3つが挙げられます。

  • 架線工事・架線の張替え工事
  • 信号システム工事・踏切や駅内にある照明の工事
  • 電力供給設備・変電設備の工事

それぞれの工事について詳しくみていきましょう。

仕事①架線工事・架線の張替え工事

電車は、駅の線路脇にある鉄塔から電線を通じて電気を供給しています。鉄塔間に張られている電線が「架線」と呼ばれるものです。

鉄道電気工事士は、架線に関しての工事を取り扱います。古い電線を調査して張り替えたり、新規で架線を設置したりするのが架線工事の内容です。

また豆知識になりますが、鉄道における電気は架線から電車の上にある「パンタグラフ」と呼ばれる装置を通って電車内に電気を供給します。その後、レールを通って供給元の電気設備に戻る流れです。

そのため鉄道で用いられている架線は、1本のみで供給しています。

仕事②信号システム工事・踏切や駅内にある照明の工事

電車も車の運転と同様、安全に運行するために信号機が線路上に設けられています。速度の指示や線路上の状況を伝えるなど、重要な役割を担っているのが特徴です。

鉄道電気工事士は、信号機の設置や交換、点検やメンテナンスなども仕事に含まれます。

また踏切や駅内にある照明工事も鉄道電気工事士の仕事です。駅内の照明はもちろんのこと、踏切の照明は歩行者や車両の状況を運転手に知らせる役割があります。

そのため照明が問題なく点灯するか点検したり、不良箇所の修理・取り換えしたりするのも鉄道電気工事士が行います。

仕事③電力供給設備・変電設備の工事

鉄道には電力会社から送電される高圧の電気を低圧に変換するための受変電設備が設置されています。受変電設備は、駅の内部に設けられている電気室や屋外に「立ち入り禁止」の看板を設けて設置されていることが多いです。

鉄道電気工事士は、受変電設備に関する工事も担います。電気機器や配線の工事、メンテナンスが主な仕事内容です。

また電気主任技術者などの資格を有していると安全に電気が送られているか、電気機器に異常がないかなどの保安管理業務に従事することも可能です。

3.鉄道電気工事士に必要な資格

鉄道電気工事士に必要な資格は、次の通りです。

  • 電気工事士【第一種・第二種】
  • 電気工事施工管理技士【一級・二級】
  • 電験三種

など

鉄道電気工事士は、電気工事士の資格を中心に電気資格を保有していると仕事で役立ちます。そのため工事を取り扱える資格や点検・メンテナンスを扱える資格を取得しましょう。

また、電気資格以外であると有利な資格は次の通りです。

  • アーク溶接
  • 高所作業車
  • 職長・安全衛生責任者教育

など

上記は、求人などで優先事項に記載していることがある資格です。そのため電気系の資格とあわせて取得することで就職や転職で有利に働くでしょう。

ただし重要度では電気工事士などの資格の方が高いため、まずは電気系資格の取得から目指してください。

02.建設電気工事士とは?

建設電気工事士は一般的にイメージされている通り、工場・ビル・商業施設・一般住宅などさまざまな建物における屋内外の電気工事を取り扱う仕事です。

建築物が新規で設置されたり既存の建築物で電気設備を修理したりする際、必ず建設電気工事士が必要となります。電気工事士法でも資格保有者以外の業務への従事は禁止されているためです。

そのため、電気設備の工事や修理、取り付けや取り外しなど多くの仕事を取り扱っています。建設電気工事士が勤める会社や具体的な仕事内容、必要な資格について詳しく解説します。

1.建設電気工事士が勤めるのはどんな会社?

建設電気工事士が勤める会社の例は、次の通りです。

  • 電気工事会社
  • 保安管理の点検をメインに行う会社
  • エアコンなどを扱う会社

など

建設電気工事士は、電気工事会社を中心に従事します。電気工事会社は先ほど解説した通り、屋内外の配線工事や電気設備の工事・修理などを取り扱う会社です。

また電気主任技術者と呼ばれる電気設備の保安・管理をメインに扱う仕事でも資格は役立ちます。点検の後に修理が必要な箇所が簡単な場合、資格保有者がすぐに修理を行えるためです。

このほかエアコンの取り付けや取り外しをメインに請け負っている会社でも電気工事士は従事しています。さまざまな会社で資格を活かせるのが建設電気工事士の特徴です。

2.建設電気工事士の仕事内容

建設電気工事士の仕事内容の例として、次の3つが挙げられます。

  • 屋内外配線設備の電気工事
  • エアコンの取り付け・取り外し
  • 電気機器のメンテナンス

など

それぞれの仕事内容について詳しくみていきましょう。

仕事①屋内外配線設備の電気工事

建設電気工事士は、屋内や屋外における配線工事を行います。

屋内配線工事は、施設内でケーブルを通して電気を使用できるようにする工事のことです。そのため作業場所は建物内で、スイッチやコンセントなどの器具を取り扱います。

一方で屋外配線工事は、地域別に電気を供給するために行う工事です。そのため電柱や電線などで電気工事が行われます。

また工事する場所によっては低圧だけでなく高圧の区分を伴うため、第一種電気工事士が必要になることがあるのも特徴です。

仕事②エアコンの取り付け・取り外し

建設電気工事士は、エアコンの取り付けや取り外しも仕事内容の1つです。「冷暖房設備工事」と呼ばれることもあります。

ただしエアコンの取り付けや取り外しを行う仕事に就く場合は、冷暖房設備工事をメインに扱う会社で従事することがほとんどです。そのため屋外の配線工事などに従事するといった業務は多くありません。

家電量販店で売れたエアコンを取り付けに行ったり、既存のエアコンを取り外しに向かったりするのが主な仕事内容です。

仕事③電気機器のメンテナンス

電気工事士の資格は「ビルメンテナンス」と呼ばれる業界でも役立ちます。この場合、ビル内にある電気機器のメンテナンスを取り扱うのが特徴です。

照明や自動ドア、電子機器の制御回路の保守など非常に幅広く業務があります。場合によってはエアコンなどの空調機器を取り扱うこともあるでしょう。

ただしビルメンテナンス業界では、電気工事士以外にも第三種冷凍機械責任者やボイラー技士などの資格が必要です。そのため仕事に従事する場合は、電気工事士以外の資格を取得する必要があります。

3.建設電気工事士に必要な資格

建設電気工事士に必要な資格は、次の通りです。

  • 電気工事士【第一種・第二種】
  • 電験三種
  • 電気工事施工管理技士【一級・二級】

など

建設電気工事士でまず必要なのは「第二種電気工事士」です。第二種電気工事士は、電気資格の中で取得しやすく、低圧における電気工事を取り扱えるのでさまざまな仕事で役立ちます。

そのため、まず第一に取得したい資格と言えるでしょう。その後は、第一種電気工事士電験三種など自身の状況にあわせて適した資格の取得を目指してください。

また、電気資格以外であると有利な資格は次の通りです。

  • 消防設備士
  • 危険物取扱者
  • ボイラー技士
  • 第三種冷凍機械責任者

など

建設電気工事士の中でもビル関連に従事する技術者の場合、ビルメン4点セットとも呼ばれる危険物取扱者やボイラー技士、第三種冷凍機械責任者の資格が必要です。

このほか、消防設備士の資格も役立ちます。特に消化器を扱える乙種第6類、火災報知設備を扱える第4類の取得がおすすめです。

電気工事士の資格とあわせて取得をご検討ください。

03.鉄道電気工事士と建設電気工事士の年収相場

厚生労働省が公表している「令和2年賃金構造基本統計調査」では、電気工事士の平均年収は577.3万円とされています。また鉄道電気工事士・建設電気工事士の年収はともに「電気工事士」の中でまとめられるのが特徴です。

年代・勤続年数別の平均年収については、次の表をご覧ください。

電気工事士の平均年収
年代 区別 勤続年数 平均年収
10代 ~19歳 約1年 244万円
20代 20~24歳 3~4年 389万円
25~29歳 6~7年 488万円
30代 30~34歳 9~10年 516万円
35~39歳 12~13年 566万円
40代 40~44歳 17~18年 639万円
45~49歳 21~22年 747万円
50代 50~54歳 22~23年 705万円
55~59歳 24~25年 650万円

表を見ると、40代が平均年収のピークを迎えていることが分かります。勤続年数の場合、20年近く勤めることで700万円近くの年収を目指すことが可能です。

国税庁によると日本人の平均年収が433万円(令和2年)とされているため、電気工事士の仕事は平均以上の年収を狙えます。

ただし、10代や20代前半は経験年数が少なく「見習い期間」とも呼ばれることがあるため、平均年収は低いことがほとんどです。

そのため鉄道電気工事士・建設電気工事士に共通して、新規資格の取得を狙う、実践経験を豊富に積むといった方法で年収アップを狙いましょう。

04.転職するならどんな人が向いている?

ここまでで、鉄道電気工事士と建設電気工事士の仕事内容や年収相場等について解説しました。ここでは、それぞれの仕事の良い部分と大変な部分、向いている人の特徴についてご紹介します。

1.鉄道電気工事士に向いている人

鉄道電気工事士の良い部分と大変な部分は、次の通りです。

〈良い部分〉

  • 鉄道に直接関係するのでやりがいを感じやすい
  • 鉄道が無くならない限りは需要が無くなることがない
  • 夜間手当による給料アップが見込める

〈大変な部分〉

  • 夜間作業が多くなりやすい
  • 体力が必要な仕事
  • 夏場は気温的にも暑く、現場もレールの温度によって暑くなりやすい

鉄道電気工事士は夜間作業が多くなるため、夜間手当による給料アップが見込めます。ただし手作業による仕事内容が多く、夜間作業も伴って仕事では体力が必要です。

そのため以下の方が鉄道電気工事士に向いていると言えます。

  • 責任感が強い方
  • コミュニケーションが取れる方
  • チームで連携できる方
  • 興味を持って積極的に動ける方

資格以外にも上記のような能力があると鉄道電気工事士として十分に働けます。

やりがいを感じやすく需要のなくならない仕事なので、鉄道電気工事士に興味があってなおかつ体力に自信がある方は目指すのも一つの方法と言えるでしょう。

2.建設電気工事士に向いている人

建設電気工事士の良い部分と大変な部分は、次の通りです。

〈良い部分〉

  • 需要が無くならない仕事
  • DIYや家庭での電気工事でもスキルが役立つ
  • 未経験者でも採用している会社は多い

〈大変な部分〉

  • 土日や祝日に仕事が入る可能性あり
  • 電気事故によって命に危険を伴う
  • 高所での作業あり

建設電気工事士も鉄道電気工事士と同様、電気設備の増加に伴って需要のなくならない仕事です。DIYや家庭での電気の不具合が生じた場合でもスキルが役立ちます。

一方で現場職となるため、休みが不定期になりやすいのが大変な部分です。加えて、現場によっては高所で作業を行うこともあります。

上記の観点を踏まえて、以下に該当する方は建設電気工事士に向いていると言えるでしょう。

  • 指示通りに作業を実施できる方
  • 工事に手を抜いたり確認を怠ったりしない方
  • 体力に自信がある方
  • コミュニケーションが取れる方
  • チーム単位で行動が取れる方

建設電気工事士が仕事する現場は、個人でなくチームでの連携を取ることが多いです。そのためコミュニケーションを取って連携できる方は建設電気工事士として従事できるでしょう。

まとめ

本記事では、鉄道・建設電気工事士の仕事内容について年収や必要な資格とあわせて解説しました。

どちらの仕事も共通して体力とコミュニケーション能力が必要です。現場では、連携が必要なので責任感を持って指示通りに動ける人が電気工事士の仕事に向いています。

年収に関しては平均以上を狙えるため、電気系統の資格を有している方で需要の無くならない仕事に従事したい場合は、電気工事士の仕事をご検討ください。

鉄道も建設も共通して必要なのは「第二種電気工事士」です。第二種電気工事士は、低圧の電気工事を取り扱える資格で、電気系統の中では取得しやすい資格に位置します。その後は、取り扱う区分や仕事によって第一種電気工事士や電験三種などの資格を取得するのがおすすめです。

第二種電気工事士資格試験は毎年2回あり、受験資格もないので挑戦しやすい資格です。短期集中受験対策講座CIC日本建設情報センターは電気工事士(第1種と第2種)の講座も開講しています。人気メーカーHOZAN社の工具・部材を講座のオプションとして特別価格で購入できるのもポイントです。工業高校や理系出身の方は独学での挑戦も見受けられますが、時間のない社会人や効率よく学習をすすめたい方にはこういった「受験対策講座」をおすすめします!

↓【第二種電気工事士 学科試験 過去問題集】Amazon新着ランキング1位獲得!

↓「ここだけやればいい」学科試験合格秘儀を伝授!

◆この記事を読んだ方へおすすめ
【電気工事士の年収はどのくらい?】年収事情と年収をアップする方法についてご紹介

Written by書いた人

ワタル

【取得資格】第二種電気工事士、第一種電気工事士、電験三種、エネルギー管理士(電気分野)、消防設備士乙種6類
【職歴】電気科新卒→大手電力グループ会社に入社→電気主任技術者として勤務→2019年1月退職→フリーのWebライター兼編集者として活動。
「電気工事士入門の書」

SHARE

GENBAroo(ゲンバルー)は「現場」で「頑張る」人たちを
応援するメディアです!

人々の生活を支えるヒーローのために現場で使えて役立つ情報をお届けします。